"We are Guam"キャンペーンの一環としてグアム政府観光局が行う"村の壁画プロジェクト"。 すでにマンギラオ村、ジーゴ村、バリガダ村の壁画が完成し、ドライバーの目を楽しませてくれています。今回のイナラハン村は、今までの企画とは趣の異なる、1950~1960年代にタイムトリップしたかのようなノスタルジー気分たっぷりのプロジェクトです。
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壁画手前に描かれた少年がこの男性。いつも店で遊んでいた幼少時代が描かれています。
マンギラオ村、ジーゴ村、バリガダ村の壁画はこちら
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こちらは当時、郵便ポストが設置されていたお宅。 左の少女は年配の方を敬って行うグアム独自の挨拶を交わしています。
イナラハン村では、これまでの3つの村の壁画のような大通り沿いの壁に描くものではなく、 20世紀初頭に立てられた家屋が残るイナラハンのヒストリカル地区の再生を兼ねた、新しい試みが実現しました。壁画の舞台は個々の家々、つまりそこに暮らしていた家族がモチーフです。 ○○おばさんや○○ちゃんなど、窓や扉に張られたベニアのキャンパスに、実際にそこで暮らしていた人々の日常が描かれています。
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今も変わらずブーゲンビリアが咲き乱れるお宅は日用品を扱うお店でした。
壁画完成のセレモニーではヒストリカル地区の元住民が多く集まり、子供の頃の村の様子やご近所付き合いの思い出を回顧しながら一軒一軒めぐり歩きました。 郵便局があったお家、洋裁の上手なおばあちゃんが暮らしていたお宅、村に2軒あったお店屋さんの愉快なお客さん争奪話など、およそ50年前ののどかな暮らしが鮮やかに蘇ってきます。 現在60~70代になった住民が壁画を眺めエピソードを語るキラキラとした眼差しを見ていると、 壁画に吸い込まれ、当時の村に吸い込まれていくような錯覚さえ覚えます。
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裁縫上手なおばあちゃんがミシンを踏む音がいつも聞こえてきました。
老朽化が目立つこの地域を壁画を通して蘇らせるプロジェクトを提案したのは、イナラハン村の住民でグアムを代表するバティック画家のジュディフローレスさん。村の子供達やお年寄りに呼びかけペイントチームを作り、現在も一枚一枚書き足しているのです。今後も作品は増え続け、ヒストリカル地区を歩く楽しみも増えることでしょう。
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イナラハン・ゲフパゴ文化村の役員を勤める画家のジュディフローレス女史。 1957年に両親とともにグアムに移住し、グアムの男性と結婚。 グアムの芸術及び文化活動に貢献し、2004年の州知事連盟NGA芸術殊勲賞 をはじめ多くの賞に輝く文化活動のリーダー。
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1940年代の住宅地図。 イナラハンでは戦後の資料を大切に残す試みが常に行われています。 写真提供:Guam Preservation Trust
セレモニー当日は、「ヒストリカル イナラハン ココナツフェスティバル」の初日でもあり、セレモニーの後は、今年のココナツクィーンが選ばれるなど、イナラハン村は大いに盛り上がりました。 その様子は次回のWeekly Guam で!
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壁画完成セレモニーは37年ぶりに復活したココナツフェスティバルの クイーンたちが盛り上げました。白いドレスは今年のココナツクィーンたち。 左の黒に花柄のドレスを着た女性は37年前のクイーン。
島の南部に位置するこの村は、1977年、首都ハガニャととも国際歴史的遺産に登録され、 スペイン統治時代の面影を残すスペイン風建築物を見ることができる村です。激動の20世紀を逞しく 生きた村民の暮らしと、数世紀に及ぶグアムの歴史に触れることができるグアムでも数少ない村の ひとつです。
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この写真は1945年のセントジョセフ教会。 1680年にスペイン人によって建てられたのと 同じ場所に建てられました。