日本の3月と言えば、冬の厳しい寒さから解放され、春の足音が聞こえ始める時期。そして卒業のシーズン・年度末ということもあり、すべてにおいて新しい一歩を踏み出す準備期間といった感じです。さて、ここグアムでは3月というと「チャモロマンス」と呼ばれる、グアムの先住民チャモロ人にとってはとても特別な月です。今回はグアムの3月について紹介しましょう。

数千年前に東南アジアから移住し、緑豊かなジャングルや美しい海などの自然と共に暮らしを営んできた古代チャモロ人。数千年続いたその暮らしが一変したのは、今から490年前の1521年3月6日です。それは世界一周をしていたポルトガルの探検家マゼランとその一行がグアム島を発見し、ウマタックに上陸した日。彼らの暮らしに西洋文化がもたらされ、また、1565年から333年にも続くスペイン統治時代が始まるきっかけとなった日です。現在グアム政府は、グアムが国際社会に登場したこの日を記念し、3月の第一月曜日を「ディスカバリーデー」と制定しています。

探検家マゼランとその一行が上陸したと言われる、ウマタック村。 ウマタック湾には記念碑が建てられています。

「ウマタック ディスカバリーデー フェスティバル」では、 週末にマゼランのウマタック上陸の模様を再現したパフォーマンスが行われます。 この写真のようにのどかな暮らしをしていたチャモロ人は、 マゼランの来島にさぞかし驚いたことでしょう。

マゼランがグアムに上陸したシーン。 飢えに苦しみながら漂流を続け、グアムに立ち寄ったマゼランとその一行。 チャモロ人は水や果物を与えたと言われています。

しかし、国際社会に登場したことにより、グアムの独自の文化「チャモロ文化」は陰りを見せ始めます。スペインによる統治中はスペインと南米との貿易の中継地点となったこと、そして1898年からはアメリカ、1941年からは日本により統治され、グアムは西から東から、実にさまざまな文化がその都度持ち込まれました。そして第二次世界大戦後には、公立学校で英語教育が奨励されるようになり、チャモロ語はますます衰退の途を辿ります。 しかし1970年代にようやくチャモロ文化の授業が再開されるようになると、次第に人々はチャモロ文化やその言語を継承する活動を始めます。そうした動きが次第に大きくなり、グアム政府は自分たちの文化について考え、守り、後世に残すため、3月を「チャモロマンス」と制定したのです。

今年も2月末より「チャモロマンス」がキックオフ。グアム古来の伝統を尊ぶイベントが続々と開始しました。チャモロ語のコンテスト、ココナツの葉編みやローカルフードのコンペティション、ローカルアーティストによる伝統工芸品の展示会などが、週末を中心にショッピングセンターなどで次々と開催されています。スーパーマーケットでも、チャモロ文化を意識したデコレーションが飾られています。いつも以上にグアムの歴史、チャモロの文化に触れることができるこの時期、皆さんもショッピングがてら、ぜひのぞいてみてください。

ペイレススーパーマーケットのマイクロネシアモール店。 ココナツの葉でデコレーションされた棚に ローカルフードばかりが並んでいます。

<インフォメーション> イベント名:ウマタック ディスカバリーデー フェスティバル 日時:3月12日(土)、13日(日)、19日(土)、20日(日) 「マゼラン上陸パフォーマンス」は 13日(日)、20日(日)11:00AM~ 場所:ウマタック湾 内容:フード屋台、おもちゃやゲームのブース、特設ステージでのバンド演奏などのエンターテイメント などが行われます。 イベント:カドゥン ピカ コンペティション 日時:3月12日(土)9:00AM~1:00PM 場所:コスト・ユー・レス タムニング店

チャモロ語で「カドゥン」は「スープ」、「ピカ」は「辛い」を意味する、 ローカルに人気のグアムの家庭料理。 各チームが作った「カドゥン ピカ」は誰でも試食OKですよ!グアムの味にトライ!

イベント名:ココナツの葉編みコンペティション 日時:3月19日(土)10:00AM~2:00PM 場所:アガニアショッピングセンター

花、魚、鳥、虫、バッグに帽子など ココナツの葉はいろんなものに変身!

イベント名:カルチュラルアート アンド クラフトフェア 日時:3月26日(土) 場所:グアム・プレミア・アウトレット 内容:グアム伝統の踊り・舞台演劇のグループ「パア・タオタオターノ」によるフェア。 グアムのさまざまな文化に出会うことができます。 イベント名:チャモロファッションショー 日時:3月27日(日)11:00AM~2:00PM 場所:アガニアショッピングセンター 内容:チャモロの文化を取り入れたファッションなどを紹介します。

昨年の「チャモロマンス」の模様はこちらから。 http://weekly.visitguam.jp/2010/04/post-67.html