チャモロ文化を代表する遺跡といえば、巨石「ラッテストーン(Latte Stone)」。ハガニア地区にある「ラッテストーン公園(Latte Stone Park)」はガイドブックで必ず紹介され、多くのツーリストが訪れます。そしてそのユニークな形をした石の歴史がわかれば、もっと興味深くラッテストーンを観察できると思いますよ。
今回はラッテストーンについてのお話を紹介しましょう。

アデラップ岬にあるラッテストーン。


こけしのようなユニークな形をしたラッテストーンは、9世紀から15世紀の「ラッテ期」と呼ばれる時代に数多く作られた巨石遺跡です。元々チャモロ人は文字を持たない民族なので、ラッテストーンが何のために作られ、どのように利用されてきたのか記述は残っておらず、今だに謎の多い不思議な遺跡です。 しかし古代チャモロ社会においては、石は生活に欠かせない必需品であり、調理器具やフィッシング道具など様々な形に削られ利用されてきました。そしてラッテストーンは、高床式住居の土台として使われていたというのが有力な説です。

理由の1つとしては、ラッテストーンは必ず8基や10基が長方形に並んだ形で発見されていること。人々はその上に家を建て、暮らしていたと言われています。それを裏付けるように、1565年にメキシコからフィリピンへ向かうスペイン船の乗組員がマリアナ諸島に立ち寄った際、当時のチャモロ人の家屋の様子を次のように書き残しています。
「彼らの家々は高く、上手に建てられ耐久性も高い。それらは地面から人ひとり分の高さの大きな石の柱の上に建てられていて、その上に床が敷かれている・・・」

ホテル・ニッコー・グアムの敷地内で発掘されたラッテストーン。
8基きれいに並んでいるのを、ホテル入り口付近で見ることができます。


ガンビーチ北側にある
「グアム カルチャー&エコ パーク(Guam Culture & Eco Park)」では
500年前の古代チャモロ人の暮らしを再現しています。
ラッテストーンがどのように使われていたのかも見ることができますよ。


もう1つの理由は、ラッテストーンの周辺から発掘された遺跡です。古代チャモロ社会では、亡くなった家族は家の敷地内に埋葬していました。ラッテストーン周辺からは人骨や装飾品などの埋葬品が、数多く発見されているのです。 グアムでは先祖の霊を「タオタオモナ(TAOTAOMO' NA)」と呼び、人々から崇められています。ラッテストーンにもそのタオタオモナが宿っているとして、今でも恐れおおく、近づこうとしない人もいるようです。埋葬の話を聞くと、本当にラッテストーンに先祖の魂が宿っているような気がしますね。

ラッテストーン公園のものはアメリカ空軍基地近くの
「メプ」と呼ばれる所で発掘されたラッテストーンです。
上のかさの部分は「タサ」、石柱は「ハリギ」と呼ばれています。
タサには海から引き上げられた珊瑚石、ハリギには石灰岩や玄武岩が使われています。


さて、初めに「チャモロ文化を代表する遺跡といえば、巨石ラッテストーン」と紹介しましたが、ラッテストーンはグアム特有の文化ではなく、グアム島と北マリアナ諸島(サイパン島、ロタ島、テニアン島、パガン島など)の文化です。巨石遺跡は世界各国に残されていますが、ラッテストーンが発見されたのはグアム島、サイパン島、ロタ島、テニアン島、パガン島のみ。発見されたものの中で最も高いのはテニアン島で発見されたもので、約5mもあるそうですよ。

しかしグアムには、もっともっと大きなラッテストーンが登場しています。ガバナージョセフフローレスメモリアルパーク(イパオビーチパーク)に建設中のラッテストーンがそれです。まだ1基しかありませんが、これから来春までに10基完成させ、その上に住居も作る予定だそうですよ。

この週末、「第24回 グアム・ミクロネシア・アイランド・フェア
(24th Guam Micronesia Island Fair)」が行われる
ガバナージョセフフローレスメモリアルパーク(イパオビーチパーク)に
登場した巨大なラッテストーン。


これが来春の完成イメージ。
「タサ(TASA)」と呼ばれるグループにより進められているこのプロジェクト。
完成するとかなり迫力ある古代チャモロ人の住居が誕生。
グアム観光の目玉スポットになりそうですね!


ハガニア地区のガバナーズオフィス内にある、ラッテストーンの形をした展望台「ラッテ オブ フリーダム(Latte of Freedom)」はドライブがてらに見かける人も多いでしょう。地上15mにあるラッテストーンのタサと呼ばれる部分からはアガニア湾とフィリピン海を一望でき、タモン湾北側にある恋人岬、さらに向こうのウルナオ岬まで見渡せる絶景ポイントです。 これは1976年、独立200周年に湧くアメリカに対し、当時のグアム準州知事リカード・ボダリオ氏が考案した記念プロジェクト。アメリカ東海岸で人々を温かく迎える自由の女神のように、アジアや太平洋諸国からの人々を受け入れるアメリカの西の入り口として建設。一時中断した時期もありましたが、今年2月にようやくグランドオープンしました。

ラッテストーンの形をした展望台
ラッテ オブ フリーダム。


展望台からは絶景を眺めることができます。


ラッテストーンはガバナーズオフィスがあるアデラップ岬や、ホテル・ニッコー・グアムの入口付近でも見ることができます。また街ではラッテストーンを象った建造物、お土産物屋さんにもラッテストーンの形をしたグッズがあります。

世界中にある「マクドナルド(McDonald's)」もこんなデザインはグアムだけでしょう!
このマクドナルドはハーモンという地区にあります。


マリン・コア・ドライブを北部のジーゴ村に向かって走ると、
ジーゴ村の入り口でこのようなサインが見つかりますよ。


チャモロ文化を象徴する巨石ラッテストーン。皆さんはグアム滞在期間中、いくつのラッテストーンを見つけられるかな?

<インフォメーション>

場所:ラッテストーン公園(Latte Stone Park)
料金:無料
ロケーション:ハガニア地区 スペイン広場の裏手

施設名:ラッテ オブ フリーダム(Latte of Freedom)
営業時間:9:00AM~4:00PM
展望台入場料:$3
ロケーション:ハガニア地区 ガバナーズオフィス内
電話番号:671-475-4634
URL:http://www.guammuseum.com/index2.htm