カンヌ国際映画祭・ベルリン国際映画祭・ヴェネツィア国際映画祭などの名だたる映画祭。これらの映画祭と比べると規模は小さいですが、グアムにもこれらの映画祭に負けない素晴らしい映画に出会える「グアム国際映画祭(Guam International Film Festival)」があります。

第1回となった昨年は18カ国から集まった100本以上もの映画が上映されましたが、今年は27カ国から200本以上が集まり、その中から厳選された51本が上映されました。ジャンルはドキュメンタリー、ショートフィルム、アニメーションなど様々で、環境や平和など現代の私たちが抱える課題をテーマにした作品もありました。グアムには映画好きの人が多くいますが、開催期間中もたくさんの人が会場に集まっていました。

"Guam International Film Festival" 略して「GIFF」。
今年も3日にわたり開催されました。

「マイクロネシアモール(Micronesia Mall)」にある映画館「スタジアムシアター(Stadium Theatre)」で9月28日(金)から3日間にわたり開催された「第2回グアム国際映画祭」。

アメリカ・ヨーロッパ・シンガポール・フィリピン・韓国・マーシャル諸島など世界各国から集まった51本の作品の中には日本からの作品もありましたよ。今年は日本のショート・ショート・フィルムフェスティバルとの連携により、7本の短編映画もエントリーしたそうです。

素晴らしい作品が揃った中で注目を集めていたのは、日本で10月に公開予定のドキュメンタリー映画「演劇1・2」の監督、想田和弘氏による観察映画「Peace(ピース)」。韓国非武装地帯ドキュメンタリー映画祭の事務局に「平和をテーマにした15分ほどの短編映画を作ってくれないか」と言われたのをきっかけに生まれたこの作品。奥様の実家で義父が餌をやっている野良猫のコミュニティーの対立と共存の姿をヒントに作られたそうです。

監督が事前のリサーチをせずにありのままの現実を撮影し、それをじっくり観察することによってテーマを見いだし、そうして生まれた作品を次は観客が観察し自らの意味を見いだすという観察映画。

「Peace」では、観客の観察を邪魔しないよう音楽やナレーションは一切使われず、静かに淡々と流れる人々や猫の何気ない日常の中から、平和とは何か、共存とは何かを観る者に問いかけます。

観察映画「Peace」の紹介。

上映後に用意された質疑応答の時間には、監督と制作補助をされた奥様が壇上にあがり、日本人やローカルの人など観客から次々と寄せられる質問に丁寧に答えていらっしゃいました。質疑応答後にも想田監督に歩み寄り質問する人もおり、この映画が見た者に与える影響の大きさが伺えました。

左が想田和弘監督。右が奥様の柏木規与子さん。
寄せられた質問にお二人で丁寧に答えていらっしゃいました。

映画「Peace」にちなんでお二人でピース!!

映画は私たちをたくさんのユーモアで笑わせ夢や希望を与えたり、世界に知られていない、また私たちが知らない地域が抱える課題を提唱し見た者に考える機会を与えるなど、幅広い役割を果たしています。映画祭は映画の振興と発展のためにその時代の優れた作品を顕彰することを目的とし開催されますが、昨年初めて開催されたグアム国際映画祭もまた、西太平洋エリアでは唯一の映画祭として多くの役割を担っています。映画を通して様々な文化への理解、奉仕などの社会的責任意識の促進など。そして世界の映画や映画産業との関係を築くことにより、グアムやグアム周辺の若いアーティストたちの創作意欲を高め、様々なチャンスを与えています。

今後もこのようなイベントが開催されることにより、グアムや西太平洋エリアの映画産業が向上し、見る者に多くの感動と興奮を与える映画がたくさん作られるようになればいいですね。

今年の受賞作は以下のとおりです。

・ベストアニメーション賞:Door(カナダ)
・アチーブメント イン アクティング賞:Coffee Project: Eva Is Leaving(イスラエル、パレスチナ)
・グランドジュリー賞(ナラティブ部門): Boundary(フィリピン)
・グランドジュリー賞(ドキュメンタリー部門): Back to the Square(ノルウェー、カナダ、エジプト)
・グランドジュリー賞(ショートナラティブ部門):Superstar(日本)
・グランドジュリー賞(ショートドキュメンタリー部門):Breadfruit and Open Spaves(グアム)
・ベスト メイド イン ザ マリアナズ賞:Mga Dayo(グアム)
・ベスト オブ フェスティバル賞:Jesus Hospital(韓国)
・オーディエンス チョイス賞:Mga Dayo(グアム)

グアム国際映画祭のホームページもぜひチェックしてくださいね。
http://www.guamfilmfestival.org/