グアムと言えば日本人にとって人気の海外リゾート地。1960年代から毎年多くの日本人ツーリストをお迎えし、グアムの経済基盤を築いてきました。しかしグアムと日本の最初の関わりはそれよりさらに昔、今からちょうど150年前に遡ります。明治元年1868年に出稼ぎとしてグアムに渡った約40名の日本人です。それから月日は流れ、現在グアムでは彼らの子孫が活躍。2007年には「グアム日系人会(Guam Nikkei Association)」が発足し、2012年から日系人同士の親睦、日系人の記録の保存や紹介、日本のルーツを探す手助け、グアムと日本、両国の絆を深めるイベントを通した地域交流など、本格的に活動を開始しました。今回はこの秋に開催された2つのグアム日系人会主催のイベントをレポートします。
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グアム・コミュニティ・カレッジの学生らによる日本の食が並んだ
『グアム日系アソシエーション・ナイトⅢ 酒テイスティング』
まずご紹介するのは10月19日(金)にグアム・コミュニティ・カレッジ(Guam Community College)で開催された『グアム日系アソシエーション・ナイトⅢ 酒テイスティング(Guam Nikkei Association Night Ⅲ with Sake tasting)』。会場には日本の音楽が流れ、日本人形の展示やグアム・コミュニティ・カレッジで日本語を学ぶ学生による折り紙教室もありました。
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イベントは午後4時からスタートでしたが、
6時を過ぎると続々と来場者が増えていきました。
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訪れたローカルの子供たちは折り紙に興味津々。
グアム・コミュニティ・カレッジの学生たちは
とっても上手に折り紙を折っていました。
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お料理はお寿司、唐揚げ、焼鳥、ラーメンなど。
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3回目となった今回は日本酒のテイスティングも登場。
日本から届いたお酒もあり、日本の食をおおいに堪能できました。
料理はすべて有料で販売されていましたが、日本にルーツを持つ日系移民の方たちをはじめ、多くのローカルの人たちが集まりました。料理はどれもおいしく、グアムに長年住む移民である私にとっても懐かしい日本の味です。
このイベントはグアム日系人会によるファンドレイジングイベント(活動資金調達イベント)で、第1回目が開催されたのは2013年。その売上は明治から昭和にかけてグアムに渡った日系1世の名前が刻まれた記念碑建立などに当てられました。この記念碑は日系の人たちにとって自分のルーツを示すための長年の願いでした。今年は国際社会や文化などを学ぶ学生奨学金に当てられる予定です。
<記念碑建立の記事はこちら>
『グアム日系アソシエーション・ナイト』に先立ち、9月15日(土)に行われたのは『ランタンフローティングセレモニー(Lantern Floating Ceremony)』。死者の魂を弔い、お供え物とともに灯篭を海や川に流す「灯籠流し」という日本の風習を真似て、日系人会主催により2015年から始まり、今年で4回目を迎えました。
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灯篭に書かれたメッセージはさまざま。
愛する亡き家族へ、家族の一員だったペットへ、
そして、家族が共に幸せに過ごしていけるように願いを込めた人も。
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古代、グアムで航海などに使われていた帆船プロアをイメージした灯篭。
人々の思いを乗せた灯篭に火が灯され、海へと流されました。
国や文化は違っても故人に寄せる思いは皆同じ。日本とグアムの文化を融合させたイベントではありますが、チャモロや日本人、日系人だけでなく、さまざまな国、宗教の人が集まり、彼方へ消えてゆく灯篭を見送りました。
<昨年の『ランタンフローティングセレモニー』の記事はこちら>
グアムに来られた方の中には、「オカダ」や「シミズ」などの日本名を持つ現地スタッフと関わった方がいらっしゃるでしょう。彼らや、彼らの家族は日本にルーツを持つ日系人かもしれません。
観光地、リゾート地として日本で名が知られるもっともっと以前から、深い繋がりを持つ日本とグアム。そしてその繋がりは現在、日系人によってさらに強い絆となって結びついています。日系人会の活動を通して、日本人の方にもっとグアムを身近に感じていただければと思います。
<インフォメーション>
グアム日系人会(GUAM NIKKEI ASSOCIATION)