その土地の気候や土壌にあった作物を育て、その地域で消費する。流通経路が短いため新鮮な状態で消費者へ届けることができる他、スーパーマーケットでは年間通して豊富な野菜や果物が並ぶ昨今、旬の作物を知ることもできる。また地域の農業を活性化させ、その地に根付いた食文化や食生活を守ることもできる。

日本では数十年も前から取り組まれてきたこの「地産地消」という概念、私が住み始めた十数年前のグアムにはまだそのような考えはなく、ただスーパーマーケットに並ぶ輸入品の少し元気のない野菜たちの中からちょっとでも状態のいいものを探して買い求めたものでした。

その頃と比べると、この10年ほどでグアムの人々の食に対する考えも嗜好も随分変わってきました。そしてグアムで採れた野菜や果物を買う機会が増え、人々も少々値段は高くてもこれらを買い求めるようになりました。

先日、私が訪れたのはグアハン サスティナブル カルチャー(Guahan Sustainable Culture)というNPO団体が開催するの販売所。新型コロナウイルスの感染拡大以降、オンラインで事前に注文をとり、ドライブスルー形式で商品の引き渡し、会計をする方法でグアムの農家を支援しています。

空芯菜、キュウリ、とうもろこし、なす、トマト、ゴーヤ、ロングビーン、アボカド、パパイヤ、バナナなどが入った「ザ・ベーシック」、すいか、アボカド、ドラゴンフルーツ、バナナなどが入った「トロピカルフルーツバッグ」、その他、ハチミツ、卵、マイクログリーンなどを販売。収穫時期や量により商品は異なりますが、どれもグアムの農家が丁寧に作ったものばかり。この日も新鮮な野菜を求めて、人々が商品を取りにやってきました。

グアハン サスティナブル カルチャー は、自分たちが消費する食料は自分たちで作れるようになりたいという思いから2019年1月にスタート。そして、その環境を長く持続できる社会を作ろうとさまざまな団体と協力しながら活動しています。

先ほどの農家の支援もそのひとつ。新型コロナウイルスによるロックダウンで売る場所を失い、大量の作物が廃棄された3月、 グアハン サスティナブル カルチャー は「サポーティング ファーマーズ、サステイニング ファミリーズ(Supporting Farmers, Sustaining Families)」 というファンドレイジングを立ち上げ、廃棄するしかなかった作物を必要とする人々へ無料で配布。そして先述のオンラインでの販売システムを構築しました。

その他、自分で育てること、自分で育てたものを食す喜びを知ってもらいたいと家庭菜園や水耕栽培などのワークショップを開催するなど、発足1年半とは思えないほど幅広い活動を展開、多くの人に支持されています。

新型コロナウイルスの流行により、免疫力アップが叫ばれる今、新鮮な野菜や果物はおいしいだけでなく栄養も満点!おいしいものを食べながら、これらを供給してくれる農家支援にも協力していければ最高ですね!